複業でも活躍するために大切なこととは?━━自分の軸を見つけ、やりたいことを選択し続ける

カテゴリー 兼務・複業名刺

皆さんこんにちは。

Eightで兼務・複業の名刺を登録できるようになって5ヶ月、たくさんのユーザーさまにこの機能を活用いただいています。マイページもさらに編集しやすくなったので、まだ二枚目以降の名刺を登録していない方は、ぜひ活用してみてください。

EightBlogでは、2020年11月のインタビューに続き、今回もパラレルな働き方をしているユーザーさまにお話を伺いました。商社に勤務しながら「NPO 二枚目の名刺」で代表を務める廣優樹さん、そして複業研究家として起業し、複業の支援を行う西村創一朗さんです。

お二人のお話から、複業することの価値や複業をする上で大切にしたいポイントが見えてきました。社外活動を始めようと考えている方や複業に興味がある方は、ヒントが見つかるかもしれません。ぜひご一読ください。

社外での失敗や想定外の出来事が、いまの自分を作った━━廣 優樹さん

━━今日はお二人に、複業することの面白さやそこから生まれる価値について教えていただきたく、この機会を設けました。どうぞよろしくお願いします! さっそくですが、廣さんからお話を聞かせてください。現在代表を務める「二枚目の名刺」は、どんな活動をする団体なのでしょうか。

廣さん はい、よろしくお願いします。私たちは二枚目の名刺を、「組織や立場を越えて社会のこれからを創ることに取り組む人が持つ名刺」と位置付けていて、二枚目の名刺を持ちやすい雰囲気をつくること、また持つきっかけをつくることをミッションとしています。

「複業を後押しする社会をつくる」と言ってもよいかもしれません。サポートプロジェクトという仕組みで、さまざまな業種や職種の社会人がチームを組み、NPOなどの社会課題の解決を掲げる組織に対して事業サポートを行います。3ヶ月間、本業とは別の形で二枚目の名刺を持って活動する。そんなプロジェクトです。

廣 優樹さん 特定非営利活動法人二枚目の名刺 代表理事
1979年生まれ。慶應義塾大学卒業、オックスフォード大学でMBA取得。日本銀行、経産省勤務を経て、2014年より商社勤務。会社員としての業務の傍ら、2009年にNPO法人二枚目の名刺を立ち上げ、代表を務める。本業で持つ1枚目の名刺のほかに、社外活動に取り組む名刺を「2枚目の名刺」と位置づけている。ミッションは、NPOと社会人をつなぎ、社会人の変化・成長を促すこと。

━━「二枚目の名刺」の設立にはどんな背景があったのでしょうか?

廣さん 「二枚目の名刺」は、2009年にスタートしました。まだ「複業」という言葉が一般的ではなく、“隠れてやる小遣い稼ぎ”のような、ネガティブなイメージで捉えられていた頃です。当時企業では「そんなことやるぐらいなら、会社の仕事しろ」というのが一般的な雰囲気で。

当時私は金融業界で働いていましたが、留学をして、農業や食料などの分野にプロジェクトベースで挑戦する機会がありました。そのときに「自分には、金融以外のことでも出来る仕事がある」とに気づいたんです。組織の中では経験できないさまざまな失敗をし、それが成長につながっているとも思いました。そこで起きた想定外の出来事が、いまの自分を形づくっているんですこうした原体験をより多くの人に伝え、さらには体験もしてほしいと思ったことが、設立の背景です。

━━活動されている方々は、どんな層の方が多いのでしょうか。

廣さん 設立した当初は25〜35歳ぐらい、会社で一通り仕事を覚え、これからのキャリアについて悩んでいる人が多くいました。ソーシャルビジネスやソーシャルアントレプレナーなどが盛り上がった時でしたし、チャットやSNSなど、オンラインでもいろんなことができるようになり始めた時で。自分の周りでベンチャー企業を立ち上げる人を見ながら「自分にもできることあるんじゃないか」と思う人が増えたんです。

でもここ5年ぐらいは、45〜55歳ぐらいのミドル層も増えてきています。個人としての社会還元や、会社を辞めた後の人生について考え始めた人たちです。

「二枚目の名刺」の活動シーン。年齢、業種、職種の違うビジネスパーソンが集まって活動しています。


やりたいことが出来ないなら、複業でやってみればいい━━西村 創一朗さ

━━廣さん、どうもありがとうございます。次は西村さん、複業研究家としての活動について教えてください。

西村さん 複業という働き方を日本中に広める活動で、方向性が大きく3つあります。

一つは個人向け。複業をやってみたいけど、やり方がわからないという人たちに対して、最初の一歩の踏み出し方や続け方などをテーマにしたワークショップを開催したり、本やメディアを通して情報を発信したりして、のべ1500人以上を支援してきました。

二つ目が企業向け。この2〜3年で、企業の複業解禁を支援することが増えましたが、多くの企業では、結局うまく出来ていないという現状があります。そこで、複業解禁のコンサルティングのみならず、複業解禁後の「複業を活用した人材育成」の支援など、企業向けの活動を行っています。また、複業マッチングプラットフォームを運営する会社でも顧問を務めています。

三つ目が行政向け。複業は地方ではまだマイノリティです。今はオンラインで北海道から沖縄まで簡単に行脚できるので、全国の自治体や地銀、商工会議所などからご依頼いただき、複業という働き方を広める活動を行っています。また、2017年度には、経産省の「我が国産業における人材力強化に向けた研究会」で委員を拝命し、兼業副業を通じたリカレント教育の重要性について提言しました。

西村創一朗さん 複業研究家/人事コンサルタント 
1988年生まれ。首都大学東京(現 東京都立大学)卒業後、2011年 リクルートキャリアに入社。法人営業・新規事業開発・人事採用を経験。本業の傍ら2015年に株式会社HARESを創業。パラレルキャリアの実践者として活動を続け、2017年1月に独立。働き方改革の専門家として個人・企業向けにコンサルティングを行う。 プライベートでは3児の父、NPO法人ファザーリングジャパンにて最年少理事を務める。(写真:矢野拓実)

━━西村さんご自身はリクルートに勤めながら複業されていたのですよね。複業を始めたきっかけは何だったのでしょう。

西村さん 学生時代から「ゼロからイチをつくる人になりたい」という強い思いがありましたが、勤めていた会社では全然違う仕事をしていて。だからやりたいことと実際の仕事とのギャップを埋める経験を積みたくて複業を始めました。ただ「やりたい」と口にするだけでなく、小さくても良いからプライベートの時間を使って「事業づくりにチャレンジしている」というファクトをつくりたかったんです。

━━リクルートではどんなお仕事を?

西村さん 当時は人材紹介の法人営業でした。リクルートに入社したのは、ゼロから事業をつくる経験を積みたかったから。最初に配属をされたのは法人営業でしたが、当初は「法人営業で結果を出してから事業開発に異動しよう」と考えていました。でも法人営業を頑張った先に待っているのは、営業マネージャーや部長といった営業としてのキャリアです。新規事業部門に異動した事例もほとんどなかったので、一時は転職も考えました。でも妻から「今の会社で本当にやりたいことをやりきったの?」と問われたことをきっかけに、せっかくリクルートに入ったなら、いったんやれることは全部やりきってみようと心を新たにしました。本業で結果を出すことに全力を注ぎながら、複業で新規事業に必要な経験を積もうと決意したのが、社会人3年目、5月のこと。これが「二兎を追って二兎を得る生き方」の原点です。

━━当時の西村さんのように、やりたいことと今やってることの間にギャップを感じている人は多いように思います。

西村さん そうですね、そのギャップを埋める方法が、これまでは社内で異動するか、転職や独立をするかしかありませんでした。でも実は、複業をするという選択肢があった。複業はリクルートの事業に比べたら砂粒ぐらいの小さな事業。でも全くやってない人と、小さな案件でも挑戦した経験がある人では、本気度の伝わり方が違います。

実際その選択をとったことで、翌年4月に新規事業部門に異動できました。そのときに「複業って良い選択肢だな」と気づいたんです。ところが、当時の日本の96%の会社は複業を禁止していました。これはもはや現代の鎖国だ、なんとかしないといけないということで、複業という働き方を広めることを決意し、起業に至りました。


やりたいと思うことをやっていたら、複業になっていた

━━廣さんは現在も会社に勤めながら、NPOの代表もされていますね。

廣さん はい。実は「二枚目の名刺」以外にも、渋谷区の教育委員会の仕事で、学校と地域、企業の人をつなげる活動や、町会の取組みでお祭りの子ども神輿の担当などもしています。でも「複業をしている」という意識をしたことはないんです。ただやりたいことをやっていたらこうなってました(笑)金融の仕事もやりがいがあったのにNPOの活動を始めたのも、理由はシンプルで、「やりたいことだったから」です。

━━やりたいことをやっていて、後から考えたら複業という形になっていたと。

廣さん そうですね。仕事の目的は、金銭的報酬、やりがい、成長など、人それぞれだと思います。ただ、それらを会社から与えられているときは、自分自身でそれらのバランスをコントロールしづらい。軸が会社の仕事にあり、会社にその決定を依存しているからです。一方、自分に軸をおき、自分がやりたいことを選択肢として活かせれば、自身の人生のオーナーシップを取れる。複業をすることの価値は、人生の選択肢が増えることだと思うし、それが豊かな人生に繋がるのだと思います。

━━まず、やりたいことが何なのかを自分で見極める必要がありますね。

西村さん よく「複業がしたいんです」と言われる方がいらっしゃいます。もちろん「とにかく何かをやりたい」から始まって複業するのも良いのですが、例えば起業をする人の中に「これがやりたいとと思うことをやっていたら、気付けば起業していた」という人と「とにかく社長になりたい、やりたいことは社長になってから考える」という人がいたとしたら、長続きするのは手段が目的化していない前者だと思うんです。それと同じことが複業にも言えるような気がしますね。

━━お二人にとっての軸とは?

廣さん 仕事を選ぶときの判断軸として大事にしてるのは、4人の娘が大きくなったときに「パパがやってきたことってかっこいいね」と思われることをやっているかどうか。

また今は、「人の変化の後押しをし、社会の変化を促す」ことを自分のミッションとして掲げています。「二枚目の名刺」の活動を通して、人が変化し、組織や社会に還元することを促していきたいです。でもミッションは意外と変わったりもすると思うんです。大事なのは「自分がやりたいことはこれだ」と思いながら、いろんな選択を繰り返していくことなのかなと。

西村さん 僕には「子どもたちの世代に、今よりも素敵な世の中にしてバトンを渡す」というビジョンがあります。このビジョンは、就職活動中に仕事を通じて何を実現したいか、僕自身がどうありたいかを考えたときに言語化したもので、10年以上変わっていない人生の軸ですね。


会社という境界を越えることで、自分の軸が見えてくる

━━ありがとうございます。お二人とも、自分自身に加えて、お子様や社会と向き合う中で、軸を固めていったのですね。一方で、会社の仕事に軸をおきながら、社外の仕事をどう増やそうかと考える人も多いと思うんです。

廣さん “ふくぎょう”と聞くと、多くの人は会社の仕事以外でお金を稼ぐことを思い浮かべるかもしれません。もし「何か始めたいのだけど、何をやれば良いかわからない」という方がいたら、僕が推奨するのは、お金の有無とは関係なく、共感する取り組みや挑戦してみたいことです。

複業をすることで一回会社から飛び出すと、自分の軸を改めて再定義するプロセスが生まれます。バウンダリー(境界)を越えたことで起こる変化が大きな刺激となり、仕事だけでなく、家族との関係性なども含めて、どう設計しようかという思考に変わっていくのです。

でも最初からお金をもらえる仕事は、自分ができることをやっているだけに過ぎないし、報酬に執着すると、やりたいことをやる機会を逃す可能性もある。だから何かを新しく始めるときは、やりがい、成長という視点も持って「本当にいまこれをやるべきなのか?」と考えてみるのも良いですね。

西村さん 僕はよく、相談に来た人に「あなたがやりたいのは、種まき型ですか? 収穫型ですか?」と聞くんです。その2つは、同じ複業でも得られるものが違う。収穫型はどちらかというとスキルの切り売りです。今自分ができることを換金していく。でも刈り取ってしまったら終わりです。もちろん全く経験が上澄みにならないわけではないですが、経験値としてのポイントはそんなに大きくない。

一方、種まき型はアマチュアですから、すぐにはお金にならないと考えた方がいい。でも、本業と全然違うことをやるからこそ得られる経験値も違うし、経験を積んで2つ目の柱ができると、本業と掛け合わせて会社に還元することもできる。ですから、もしいまやっていこうとしていることが刈り取り型の複業という人は、種まき型も意識していると良いと思います。

緊急事態宣言下だったため、取材はオンラインで行いました。


━━自分の軸ややりたいことは、どうすれば見つけられるのでしょうか。

廣さん 例えば、ソーシャルな活動に触れてみるのも良いと思います。強烈なパッションを持って判断をしていくNPO代表などど接点を持つと、自分自身の価値観の再定義が促されます。組織の中で頭でっかちになっていた自分のやり方を打破するきっかけにもなるかもしれません。そのときに、お金を目的にしたいとか、事業をやりたいとか、やりがいや成長を設計したいとか、さまざまな思いが出てくるかもしれない。大事なのは、そうやって自分で選択するようになることだと思います。

━━実際に新しい活動を始める時、心がけると良いことはありますか?

廣さん 「これをやってください」と与えられたことをやるのも良いですが、自分の思考を認識するには「自分で手を上げて、自分がやりたいことをやる」ことが大事だと思います。

それから良質な失敗経験が積める場に踏み込むと良いです。失敗してだめだった、終わり!ではなく、うまくいかなかったことを振り返る機会があり、次につなげるられる場ですね。


西村さん 個人的におすすめなのは、この指止まれをやってみることです。僕の周りで複業をはじめた人を見ていると、自分の半径5m以内から第一歩を踏み出しています。そこで、自分のスキルは社外でも通用するとか、領域が違うと考えるポイントが違うなど、さまざまな学びがあり、それがひとつの足掛かりとなって広がっていきます。複業が禁止の会社なら「ボランティアでマーケティングの支援をするので、手伝って欲しい人がいたらメッセージください」という感じで、この指止まれをやってみるのもひとつの手です。

━━なるほど、身近な人へのアプローチですか。名刺交換した相手とのつながりも活かせそうですが、お二人は仕事に合わせて名刺を使い分けているのですか?

廣さん 僕は、「名刺=役職・役割を表すもの」ではなくて、自分が考えていることを発信する手段だと思っています。ですから、「二枚目の名刺」のコンセプトを発信したいときも名刺を使うし、他にやりたいことがあれば、名刺を使って「こういう仕事ができます」と伝える。メディアのような感覚です。だからEightが複数枚の名刺を登録できるようにしたのは重要なことですよね。ただし名刺は、交換して終わりなのではなく、自分が実現したいことを伝えられてはじめて意味を持つのだと思います。

━━確かに、名刺交換して終わりでは活動の幅はひろがりにくいですね。いま、オンライン化で名刺を使わない人が増えていますが、名刺交換を「自分が実現したいことを伝える」ための行為と考えると、やはり名刺交換には意味があると感じます。

西村さん プライベートのSNSではわざわざ「複業はじめました」とは言わないので、自分の身近で副業やってる人って、実はそんなに見える化されていません。でもEightなら複業名刺を登録すればつながっている人に通知されるので、それをフックに具体的に何をやってるのかとか、どうやって仕事につなげたのかなどと聞いてみると、リアルな複業ストーリーを知ることができると思います。

異動や昇進の通知は、絶好のコミュニケーションポイントだと思うんです。雑談から入って「いま複業をやってるので、お手伝いできることがあったら言ってくださいね」という話をするのも良い。そうすると「こんなこと出来たら助かる」という話が出てくることもある。「何かお手伝いできることはないですか?」を雑談に加えるのは、地味だけど大切なTIPS。そして、そのきっかけになるのがEightですよね。

西村さんのEightのプロフィールページ。名刺を複数枚登録、キャリアサマリも記載していただいているので、このページを見た人に西村さんの仕事や活動の内容を伝わります。

━━複業をしている人にとっても、名刺を登録することで自分がやりたいことや思いを発信したりできれば、新たなビジネスパートナーを見つけることにもつながりますね。廣さん、西村さん、今日はありがとうございました。


いかがでしたか? 会社の仕事も大切にしながら、社外でも自分のやりたいことを実行していく。たとえスモールスタートだったとしても、その経験を踏んで新たなに価値観に出会うことが大切なのだと改めて学びました。