
もともと、Eightは名刺を管理し、名刺を起点としたつながりをビジネスに生かすために生まれました。そして、そのつながりを生かしてさらなる出会いの可能性を広げるために、2019年1月、法人向けの採用サービス「Eight Career Design」をローンチしました。
今回は、もともと採用だけを目的として作られていないものの、採用に最適なサービスを提供する3社が集まり、「リファラル採用」をテーマとしたイベントを2月6日(木)に開催しました。リファラルとは、社員が企業と採用候補者との橋渡しをする採用手法です。
3つのサービスはリファラル採用にどう役立つのか、イベント当日の様子も含めご紹介します。
Eightは、無料で使える個人向けの名刺アプリです。スマートフォンで名刺を撮影するだけでデータ化され、手間なく名刺管理ができます。データ化の速度と正確性には定評があり、2012年のサービス開始以来、高精度の読みとり技術は、常に進化を続けています。名刺交換をした相手もEightを利用していれば、あなたのビジネスネットワークに加わります。異動や昇進などで名刺が変わった際には通知が届き、「近況の投稿」や「メッセージ」で情報交換も可能に。日々の仕事の出会いが、新たなビジネスの可能性につながります。
目次
社外の強い味方、スプレッダーを介した人探しのすすめ
最初のスピーカーは、Spready株式会社の佐古雅亮さん。
佐古さんは、2008年からHR領域に携わり、ベンチャー企業やスタートアップ企業のアドバイザリーを行なっていたそうで、リファラル採用がまだ一般的ではなかった頃から、人を介した採用の戦略を考え続けてきたのだとか。

フェーズとして規模が小さい企業の採用をサポートしてきた佐古さんだからこそわかる、リファラル採用の課題や、企業規模問わず採用に成功するための方法をお話しいただきました。
「結局、リファラル採用も、集まるのは『転職顕在層』なんです」
リファラル採用は、転職市場にはいない「潜在層」にアプローチをできることや、採用コストを抑えられること、また入社した際のミスマッチの可能性を下げられることから注目されています。では、「集まるのは『転職顕在層』」とは、どういうことでしょうか。
佐古さんは、次のように説明します。
「社員が知り合いを紹介するときに、まず相手の転職意向を確認する傾向があるからです。そうなると、紹介するのは必然的に転職を考えているかを気軽に聞ける、ごく親しい間柄の人に限られます。
しかし、そこまで親しい間柄の知り合いは、個人が持つ人脈全体のうち1〜2%程度です。そのやり方では、母集団の数に限界があります。ましてや、規模が小さい会社ならなおさらです」。
また、社員のエンゲージメントも、企業がリファラル採用に取り組むうえで課題になるケースが多いといいます。「『社員がなかなか知り合いを紹介してくれない』というお悩みをよく聞きます。もちろん、社員が紹介したくなるような会社にしていくのがベストですが、一朝一夕で実現できることではありませんよね」と佐古さん。
そこで、会社の規模に関係なく、採用、アライアンス、あらゆるケースにおける「人を探したい」というニーズに応えられる手法を追求した結果、生まれたのがコラボレーションSNS「Spready」だといいます。
Spreadyの仕組みとして、まず「人を探している企業」がおり、それに対して、Spreadyに登録している個人ユーザーさん=スプレッダーが、自身のつながりを活用し、紹介という形で出会いをつくります。2020年1月時点で、スプレッダーは2,000人を超え、Spreadyを通じて生まれたご縁の数は950件に達したそうです。同月のリニューアルでは、スプレッダーがご縁をつないだ実績を「おつなぎポイント」という形で可視化することで、スプレッダーの新たな出会いをつくる活動を、より楽しく行えるよう環境を整えたのだとか。
「Spreadyには、『六次の隔たり』という社会学の理論を応用しています。6人を介せば、会いたい人に出会えるという考え方です。
これまで日本では、企業と人とがカジュアルに出会う機会が少なかったように思います。Spreadyを通じて、そうした機会をどんどん作っていきます」。
リファラル採用の活路は弱いつながりにあり
次に登場したのは、弊社Sansan株式会社の水谷将志。名刺アプリEightを基盤とした採用サービス「Eight Career Design(ECD)」を活用したリファラル採用について話しました。

ECDは、インハウス・リクルートメントの仕組みを提供しており、自社社員のつながりを活用して採用候補者にダイレクトにアプローチできるサービスです。
「これはリファラル採用あるあるですが、先ほど佐古さんもおっしゃっていたように、いくら呼びかけても、社員がなかなか知り合いを紹介してくれないことが課題として挙がっています。そうした状況を打破するための糸口が、名刺を起点とした『弱いつながり』です」。
学生時代の親友や、長年一緒に働いていた同僚を「強いつながり」とした場合に、人脈全体に占めるその割合は5%程度だといいます。「強いつながり」だけでは、タレントプールの母集団形成に限界があります。
一方で、残りの95%「弱いつながり」にアプローチしようと思っても、例えば数年前に一度会ったきりの人を想起するのは困難でしょう。
そこで活躍するのが、ECDです。「Eightを基盤としたECDなら、登録している名刺を一覧で確認できます。つまり、『弱いつながり』が可視化されている状態です。さらに、いつ名刺交換したか、今はどんな会社に勤めているかもキャッチアップできるため、本来想起が難しいはずの『弱いつながり』を思い出し、活用できるんです」と水谷。
採用に限らず、転職をしても、部署が変わっても、Eightを介して相手との関係を継続できることに、水谷自身ユーザーとして価値を感じているといいます。
「これまでに3回転職をしましたが、前職で知り合ったお客様とは、Eightを介して未だにお付き合いさせてもらっています。Eightで自身の名刺を更新すると、過去に名刺交換した相手に通知される仕組みがあり、私がSansanに転職したことをきっかけに連絡をくれた方もいました。
ビジネスの出会いは、名刺交換を起点に長く続いていきます。本来なら『名刺交換をしてそれきり』になっていたはずの出会いも、Eightなら『弱いつながり』としてつながっていきます。その出会いの可能性を、ぜひ採用にも活用しませんか」。
他社を真似ても成功しない。自社にあった採用手法を探そう
トリは、株式会社アトラエの岡利幸さん。アトラエは、IT / Web業界に特化した採用サイト「Green」や、従業員のエンゲージメントを高めるためのサービス「wevox」、そして完全審査制のビジネスマッチングアプリ「yenta」を提供しています。
これらに共通するのは、人の可能性を広げるサービスであること。アトラエでは、これを「People Tech」と呼んでいるのだとか。その中でも今回は、yentaの新しい仕組みとして誕生した「yenta for business」が、採用にどう生かせるのかをお話しいただきました。

「もともと、yentaはビジネスパーソン同士の接点を作ることで、オープンイノベーションや人材の流動化を後押しするために作られたサービスです。また、ビジネスの知見を深めることにも活用できます。例えば、普段接点のない業界の人と知り合い、新たな着想を得ることも可能です。人との接点づくりに特化したサービスであることから、今回、それを採用にも生かせる仕組みを作りました」。
今回のイベントのテーマは「リファラル採用」でしたが、必ずしも全ての企業においてこの手法が適しているわけではないと、岡さんはいいます。「恋愛と同じです。人の真似をしても、必ずしもうまくはいきません。自分の武器を生かさない限り、なかなか成就しないでしょう。大事なのは、自社と相性の良い採用手法を選ぶことです」。
例えば、ブロックチェーンや宇宙開発など、市場自体の認知度が高い事業を展開している企業の場合、採用広報や広告、イベントなどで応募が集まりやすい傾向にあるのだとか。
一方で、まだ世の中にあまり浸透していない領域の事業を展開するスタートアップ企業などの場合は、社員=人が持つ魅力を伝えていくのが有効だといいます。「人と人との接点を増やし、『こんなに魅力ある人がいるなら一緒に働いてみたい』『こんなに優秀な人が取り組んでいる事業なら、自分も一緒にチャレンジしたい』と思ってもらうことが重要です」と岡さんは説明します。「そういった意味では、yentaは人と人との接点を作ることに特化したサービスなので、社員=人で惹きつける場合に最も有効な手段のひとつになり得ます」。

yentaは通常無料で、1日10人、ユーザー一人ひとりに適したビジネスパーソンのプロフィールが届きます。プロフィールを確認し、興味がある人と、ない人とを分けていきます。互いに「興味がある」を選択した場合は、メッセージを送って実際に会うことも可能です。
今回、新しく「キャリアステータス」の概念が追加されたことで、個人ユーザーは転職意欲やキャリアに対する考え方を登録できるようになりました。一方で、法人ユーザーは「yenta for business」を使うと、キャリアステータスや職業などでプロフィールを絞り込み、採用のターゲット層にアプローチできます。yentaを介して構築した社員のつながりを、そのままタレントプールとして使えるため、自然なかたちで母集団形成ができるのだとか。
ただ、どの手法を使うにしても、最終的には「組織のあり方」が採用力に影響すると、岡さんはいいます。「どんなに良い手法を使って、どんなに良い人が入ったとしても、辞めてしまっては意味がありません。それに、社員が『入社を勧めたい』と思わない会社に人が入ることが、果たして企業と候補者、互いにとってプラスなのでしょうか。自社にあったやり方で、時代に適応しながら組織のあり方をアップデートしていくことが大事ですね」。
トークセッションのあとは交流会を実施しました。終了時間ギリギリまで、登壇者や参加者同士で話し込む様子が印象的でした。





ご興味をお持ちいただけた方は、ぜひ各社のサービス紹介ページも覗いてみてください。
- Spready:
企業が持つあらゆるジャンルの「人を探したい」というニーズを、個人ユーザーが自身のつながりから適した知人や友人を紹介することで解決する、コラボレーションSNS。 - Eight Career Design(ECD):
名刺アプリEightを基盤とした採用サービス。インハウス・リクルートメントの仕組みを提供しており、自社社員のつながりを活用して採用候補者にダイレクトにアプローチできる。 - yenta:
普段は繋がる機会の少ない多種多様な領域のプロフェッショナル同士を繋ぎ、働き方の多様化、オープンイノベーションや生産性の向上を促進するアプリ。