本当に欲しい人材は”転職市場”の外にいる。社員のつながり=人脈から見つけ出そう

カテゴリー 名刺×採用

こんにちは。名刺アプリEightの村上です。

約1年前、Eightは採用サービスを本格始動しました。当時、弊社からのお知らせやニュースをご覧になった方の中には、「名刺アプリがなぜ?」と首を捻った方もいらっしゃるかもしれません。あるいは、今この記事を読んで初めて知った方もいらっしゃるでしょう。

そこで今回は、Eightの採用サービス「Eight Career Design(以下ECD)」をローンチして約1年経った今、改めてサービスが生まれた背景にある転職市場の動向や、そこにある今後取り組むべき課題、そしてECDがどのように解決を目指すのかをご紹介します。

話を聞いたのは、ECDの立ち上げを主導した、Eight事業部 コーポレートソリューション部の部長、大西勝也。以前は、法人向けの名刺管理サービス「Sansan」事業のマーケティング統括として、TVCMを中心としたマスマーケティングから、数千名規模のオフラインマーケティング、MAやSFAを絡めたインサイドセールス部隊の立ち上げなどに携わってきました。

長年マーケターとして会社をリードしてきた大西だからこそ思う、転職市場における課題と、今後の展望を語ります。

名刺アプリEight
Eightは、無料で使える個人向けの名刺アプリです。スマートフォンで名刺を撮影するだけでデータ化され、手間なく名刺管理ができます。データ化の速度と正確性には定評があり、2012年のサービス開始以来、高精度の「自動読みとり」と「スタッフの手入力」を組み合わせた技術は、常に進化を続けています。名刺交換をした相手もEightを利用していれば、あなたのビジネスネットワークに加わります。異動や昇進などで名刺が変わった際には通知が届き、「近況の投稿」や「メッセージ」で情報交換も可能に。日々の仕事の出会いが、新たなビジネスの可能性につながります。

目次


採用のインハウス化が、企業と候補者のミスマッチをなくす

──これまで弊社のマーケティング部を統括してきた大西さんですが、なぜEightの採用サービスの立ち上げに携わろうと思ったのでしょう?

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Sansan株式会社 Eight事業部 大西勝也 2011年に入社。営業担当を経て、2012年からSansan事業のマーケティングを統括。2018年よりEight事業で企業向けサービスの立ち上げを行う。Sansan事業のマーケティングでは、Web広告からSEO、オウンドメディア運営などWebマーケティングをはじめ、MAやSFAを絡めたインサイドセールス部隊の立ち上げや、TVCMを中心としたマスマーケティング、数千名規模のプライベートイベントによるオフラインマーケティングなど、BtoBマーケティングを推進し、Sansan事業の拡大に寄与。Sansanに入社する前の1年間は、世界一周の旅をしていたのだとか。

労働人口が減少している状況下で、企業が優秀な人材を獲得するのは困難になっています。私自身、弊社の採用に携わるなか、転職エージェント経由で出会える層だけでは欲しい人材には出会いにくいと感じていました。

だからこそ、今後は転職エージェントに任せきりではなく、採用をインハウス化していくことが求められると考えています。そのためには、企業が自身で市場を開拓し、候補者を見つけ、アプローチできる仕組みが必要です。250万人以上のビジネスパーソンが利用するEightなら、その仕組みを実現できると考えました。

──採用のインハウス化というと?

採用のインハウス化とは、企業が自ら採用に関わる業務を一気通貫で行うことを指します。

まず、自社がどんな人材を求めているのか、その要件を定義します。次に、ターゲットとなる候補者を市場から見つけ、選定します。タレントプール、つまりターゲットとなる候補者のリストを作り、中長期的な目線で彼らとの関係を構築する。それらの候補者の転職意向が高まったタイミングでアプローチをかける。この時に、自社の魅力を伝え、惹きつけることが重要です。

これは、マーケティングおよび営業のプロセスと全く一緒です。私は、マーケティング部を統括していた当時、リードの獲得から商談の設定、クロージングまでのプロセスを一気通貫で見ていたことがあります。この経験から、企業の採用にもこのプロセスを取り入れることで、企業と候補者が互いによりマッチする採用ができると考えました。

インハウス・リクルートメントの流れ

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──それはなぜでしょう?

自社の事情を常に把握しているのも、自社の魅力を最も力強く語れるのも、社員だからです。もちろん、密に情報共有を行うことで、転職エージェントの理解を醸成して、二人三脚で取り組んでいくことも可能です。ただ、社内の状況はどんどん変わりますし、どうしても社外からは見えにくい部分もあります。

例えば、弊社で営業を募集するとしましょう。弊社には法人向けの名刺管理サービス「Sansan」と、名刺アプリ「Eight」の事業部がありますが、それぞれの事業部において営業に求められるスキルは大きく異なります。でも、社外からはそうした違いは見えにくい。つまり、応募の段階でミスマッチが発生する可能性が高いんです。

それに、先ほど説明したプロセスの中で、特に候補者を「惹きつける」ことにおいては、社員の右に出る者はいません。実際に、転職エージェント経由では辞退した候補者に、再度ECD経由でダイレクトメッセージを送り、面談をしたところ、興味を持っていただき選考に進んだ例があります。これはあくまでも一例ですが、やはり実感を持って会社の良さを語り、同時にカルチャーフィットする候補者を見分けられるのは、社員だけだと確信しています。

特に、今後市場を開拓し、いま積極的に転職活動をしていない層にもアプローチをかけていくのならば、なおさら候補者を「惹きつける」ことが重要になってきます。

「誰か良い人いない?」はもう限界。リファラルで本当に欲しい人と出会える戦略とは


社員が持つ「弱いつながり」こそ人材の宝庫

──そもそも、いま転職活動をしていない層にアプローチをかけても、「惹きつける」以前に、「会う」に至らないことも多いのではないでしょうか。

そこで重要なのが、「タレントプール」の構築と「社内のつながり」の活用です。

「タレントプール」は、マーケティングでいう「リード・ナーチャリング」と似たようなもので、自社が欲しい人材の母集団に対して、中長期的な目線でコミュニケーションをとり関係を構築するアプローチ手法です。

転職エージェント経由では出会えないような、いま積極的に転職活動をしていない層に対して、急に猛アプローチをかけることは禁物です。これは営業でも同じことが言えます。

ある程度長い目線で関係を構築し、候補者の転職への意向度が高まったちょうどそのタイミングでダイレクトスカウトをかける。これがポイントです。ECDでは、そうした転職意向度の変化を逐一キャッチする仕組みも提供しています。

そして、スカウトを送る際に、候補者からの反応を得るためのポイントが「社内のつながり」です。自社社員と接点のある候補者に、その旨を添えてスカウトを送ると、接点のない候補者と比べて約3倍の返信率であることがわかっています。候補者から見て、企業と接点があるかないかは、企業に対する興味や魅力の度合いに大きく影響します。

さらに、接点のある自社社員から声をかけた場合に、その約3倍、つまり接点のない候補者と比べて約6倍、返信がくる確率が高まります。これを「1:3:6の法則」と呼んでいます。

※ 見込み顧客を育成していくこと。顧客に寄り添った形で情報を提供することを通じて、自社サービスや商品への購入意欲を高め、将来的な顧客になってもらうことを目指す。(参考:Marketo リードナーチャリングとは-見込み顧客を育てる方法とその事例

“転職活動”期間は0日。エージェントを使わないキャリアアップのすすめ

──ECDでも社内のつながりを活用する「リファラル採用」の仕組みを取り入れています。これまでの”リファラル採用”とは何が違うのでしょう?

まず、社員の同意のもと、接点のある候補者を抽出できます。さらに、その情報をもとに、社員に候補者との橋渡しに協力してもらうための仕組みを用意しています。ここが、これまでの”リファラル”採用とは大きく異なります。

社員が人事担当者から「良い人がいたら紹介してください」と言われたときに、候補者として純粋想起できるのは自身のつながりのうち5%程度だとわかっています。さらにいうと、その場でパッと思い出せるのは「強いつながり」を持つ相手です。でも、「そういえば会ったことがあるような気がしなくもない」レベルの「弱いつながり」の中に、もしかしたら自社が欲しい人材がいるかもしれません。私たちはそうした「弱いつながり」こそがリファラル採用の宝庫だと考えています。

それが活用できるプラットフォームは今までありませんでしたが、ECDなら「弱いつながり」にもアプローチし、リファラル採用の可能性を大きく広げられます。

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弊社がEightユーザーを対象に行なった調査の結果によると、約4人に1人がリファラルによる転職を行なっている。 (参考:「『リファーラル』による転職の実態とその効果」)

優秀な人材の流動化が、日本経済を活性化させる

──ECDはこれまでにない採用の仕組みを提供していますが、ECDを通じて転職市場全体にどんな変化を起こしたいですか?

キャリアのミスマッチを最適化したいと考えています。いまは、キャリアのミスマッチがあまりにも多いと感じます。

数年前に、30代の大手企業に勤める方と面接をしました。新卒からその企業に勤めていらっしゃたそうですが、自身のキャリアを見つめ直した時に「大手ではなくベンチャー企業で勝負したい」と思い、転職市場に手を挙げたのだとか。これまで真剣に仕事に向き合ってこられており、高いポテンシャルをお持ちだと感じました。

しかし、ことベンチャー企業においてその年代の方を中途で採用するとき、多くの場合は即戦力であることが求められます。残念ながら、その候補者がこれまでに培ってきたスキルでは即戦力に一歩及ばず、悩んだ末にお見送りという結論を出しました。

新卒から一社で勤め続け、目の前の仕事に全力投球してきたが故に、なかなか自身のキャリアを見つめ直し、別の選択肢を考えるタイミングがなかったように思います。あと数年、早く出会えていれば、もしかしたら一緒に働けていたかもしれません。

いまは、転職エージェントなどに登録して、転職市場に手を挙げないと、企業から声がかかるケースはそう多くはありません。つまり、いま目の前の仕事に真剣に向き合っている人の多くは、転職市場には存在していないんです。

でも、転職市場に名乗りを挙げる時間も余裕もないくらい、目の前の仕事にコミットしている人こそ、企業が本当に欲しい人材なのではないでしょうか。ECDを通じて企業の採用力を強化すると同時に、そうした現職で活躍している人に別の選択肢を示すことで、自身のキャリアを見つめ直すきっかけを作ることを目指しています。

冒頭で触れた通り、日本の労働人口は減少しています。少ない人数で日本経済を支えるためには、当然ながら生産性を挙げていく必要がある。そのためには、より能力の高い人材が、より高い生産性が求められる場所に進出すべきだと考えます。言い換えると、人材の流動化を進める必要があります

だからこそ、いま目の前の仕事に向き合い、活躍している人に、さらなるキャリアの可能性を提示していきたい。より能力が活かせる場所があるなら、そこに移っていくことが、本人のキャリアアップにもつながりますし、日本経済全体のためになると信じています。

社外とのつながりから得た、会社を辞めずにキャリアアップするヒント

──大西さんがマネージャーを務めるチームのメンバーについても、より能力が生かせる場所があるなら、そこに行くことを応援しますか?

個人的には間違いなく応援すると思います。というのも、これはあくまでも例え話ですが、チーム内では「プロダクトマネージャーのKを月に送る」ことを目指しています。

──どういうことですか?

ECDのプロダクトマネージャーを務めるKは、いま目の前の仕事に全力でコミットしていますし、おそらく転職エージェントには登録していない、つまり転職市場に手を挙げていない状態です。けれど、私が「あの有名な某月面探査チームから声がかかったらどう?」と尋ねたら、Kは「かなり(気持ちが)揺れる」と答えましたね(笑)。

もちろん例え話ですし、Kは大事な戦力ですが、でも我々がECDで実現しようとしているのはそういうことなんです。本人が思いもよらなかったキャリアの道を示して、ジャンプアップしていくきっかけを作っていきたいです。

Eight Career Design(ECD)
Eight Career Designは、名刺アプリ「Eight」が提供する企業向けの採用サービスです。アメリカで主流のインハウスリクルートメントの仕組みを取り入れ、従来の転職市場にはない価値を提供します。

文・写真/村上知香

2016年12月、新しい価値を生み出す事業内容に惹かれ、Sansan株式会社に入社。ビジネスSNS Eightのプロジェクトマネジャー(PM)として、ユーザーのエンゲージメントを向上させるための機能開発を推進。

2018年1月、Eightが運営するメディア「Business Network Lab(BNL)」編集部に異動。「Eightの便利な使い方をもっと広めたい」という思いから、「Eight Tips」カテゴリを立ち上げる。

同年6月、「Eight Tips」の拡張版としてEight公式ブログ「Eight Blog」を開設。同ブログでは、使い方紹介に加え、ユーザーの活用事例や社員インタビューなどのコンテンツを配信。