
ユーザーの活用例をご紹介する【User’s Voice】に今回ご登場いただくのは、北海道在住のフリー記者、鈴木たかしさん。ネット創世記からイノベーターであり続ける鈴木さんならではの目線で、Eightに対する考えを綴ります。
こんにちは。Eightの村上です。
「濃い」。そのひと言に尽きる「キャリアサマリ」に出会ったのは、約1年前。1975年から始まる年表形式で、当時の上限文字数である1,500字ギリギリまでびっしり書かれていました。
そのキャリアサマリの主こそ、今回取材させていただいたフリー記者の鈴木たかしさん。鈴木さんは、定年退職をきっかけに「情報ボランティア / 市民記者」の看板を掲げフリーランスに転向。日本で使われなくなった車いすを修理して旅行者に海外へ運んでもらっている団体や、補助犬への理解を進める団体などでさまざまな活動をされています。

鈴木さんは会社勤めの頃からEightを利用されているのですが、フリーランスに転向したタイミングで、これまでの41年間を振り返る意味もありキャリアサマリを更新したそうです。それがこちら。

ダイヤルアップ接続(※1)が主流の時代からネットワーキングに注目し、1980年代にはパソコン通信局(※2)の立ち上げを担当。ネット社会のイノベーターであり続ける鈴木さんが、どんな考えのもとEightを利用しているのかを知りたくて、メールインタビューを行いました。独自の目線が光るコメントをお届けしてまいります。
※1 電話回線(アナログ回線)を使ってインターネットに接続する方法。(参考:NTTPCコミュニケーションズ用語解説辞典)
※2 ホストコンピューターに複数のユーザーがPCを接続して情報の受発信を行うクローズドなネットワーク。(参考:KDDI 用語集)
マスメディアでは取り上げない市民の声を残したい
──まず、定年退職を起点に「情報ボランティア / 市民記者」になろうと思われたきっかけをお聞かせください。
私はもともと新聞記者でした。現役時代、いろいろな取材をしましたが、ともすると「…が開かれた」という、我ながら「底の浅い」記事ばかり書いているという思いがありました。それは紙幅が限られている商業紙の世界では致し方ない面もあります。でも、世の中には新聞やテレビなどマスメディアがなかなか取り上げないけれど、市民社会から見て重要な講演や催しが多くあります。
──それは、例えばどんな催しでしょう?
例えば、さまざまな障害を持つ人たちが自らの障害や社会に対する思いを語る「スピーチマラソン」という催しが札幌で毎年開かれています。普段接しているだけではなかなかうかがい知れない、障がい者さんの深い思いを知ることができて毎回心を打たれるのですが、マスメディアは、かつての私がそうだったように、そうした催しが「開かれた」ことは知らせても、一人ひとりがどんな話をしたかまでは伝え切れません。そこで私は過去三回、すべての話をテキストに起こしました。Facebookライブ動画で配信するとともに電子書籍化し、国立国会図書館に納本しました。後世、どこかで誰かが目にすることを期待しています。私が名乗っている「情報ボランティア/市民記者」は、そうしたことを「仕事」にしていくという決意を込めたものです。

キャリアサマリは「シャカイ」に自分を伝える場
──Eightはフリーランス転向前からご利用いただいていますよね。使い始めたきっかけは何だったのでしょう?
同じようなサービスとしてはLinkedInがありますよね。Eightより前にそちらにも登録していて、いまも結構リクエストをもらうのですが、どうしても「言葉の壁」があり、残念ながらスルーしています。その点、Eightは基本的に日本語の世界ですので、自分の世界が広がりやすいかな、と思いました。
私はパソコン通信時代から「実名主義」を掲げていて、その後の匿名主流時代を横目で見ていたのですが、Facebookのサービス開始以降、「実名でのお付き合い」という流れが強まり、さらにEightは「名刺」という社会的な立場を保証するツールをバックにしていることもあり、「これから」を感じて使い始めました。
──フリーランスに転向されるタイミングでキャリアサマリを更新されていますが、それはなぜでしょう?
私は6月が誕生月なので65歳になる4カ月前のタイミングでの更新でしたね。一つはフルリタイアを目前にして自分の「過ぎ来し方」(※)を振り返ろうと思いました。二つは、カイシャを離れてシャカイに入っていくとき、外に向けて私のキャリアをきちんと発信することで私をできるだけ認識してもらいたいと思いました。
※ 過ぎてきた時。過去。
──節目となる年齢ごとに非常に詳しく記載されているのには、どんな意図があるのでしょう?
「節目となる年齢ごとに」というのは特に意識していませんでした。「非常に詳しく」というのも、自分としてはそうは思っていません。社会人となった1975年から41年間の歩みを書いたのですが、字数制限がなければもっと書きたいくらいです(※)。私のキャリアはいまも日々積み重なっているのですから、それを伝えていくためには、フルリタイア後の「いま」を記録していく必要があるのです。

──キャリアサマリの更新をきっかけに生まれたコミュニケーションやビジネスはありましたか?
「キャリアサマリを読んで興味を持ちました」というコンタクトがどんどん来てくれたらうれしいのですがね。確かに名刺交換リクエストをたくさんいただいたこともあります。ただ、ネット上で名刺を交換しても、だいたいはそれっきりで、そこから発展していったケースはあまりありません。私が札幌に住んでいるという「不利」もあります。東京や大阪などは人の行き来がしやすく、Eightでの名刺交換をきっかけに「じゃ、ちょっと会いましょうか」という環境で、その意味ではうらやましく感じます。
「話してそれきり」のつながりには疑問も
──Eightのフィード機能がリリースされた当初から何度か投稿されていますよね。投稿をきっかけに生まれたコミュニケーションやビジネスがありましたらお聞かせください。
「投稿をきっかけに」ということでもないのですが、かねて知人だった方が東京から札幌へ講演で来られた折に札幌や近郊に住むEightメンバーが集まり会食しました。昨年に続き、今年もつい先日行いました。ただ、これも何か共通のテーマを持たないと、集まって隣の人と話してそれきり、ということになりかねないな、と思っています。「人と人とのつながりは淡きをもってよし」とする考え方もありますから、あまり気にしなくともいいのかもしれませんが…。年のせいにはしたくありませんが、最近は時間の有限さをだんだん感じていて、いろいろなお話をいただいても少し慎重に考えなくてはいけないなぁ、と自戒しています。

──定年退職後の方やフリーランスの方に向けて、おすすめのEightの使い方はありますか?
「私はこれができます」「こんなことを求めています」という、いい意味での自己アピールの場として活用したらいいと思います。
──最後に、今後Eightに求めることをお聞かせください。
上記とも関連しますが、つながりを求める人同士を結び付けてくれる「マッチングサービス」などいかがでしょうか。名刺交換を通じて生まれた、せっかくのご縁を大切にして、さらに広げていくような役割を期待します。
鈴木さん、ありがとうございました!定年退職をキャリアのターニングポイントと考えた時に、会社を離れるからこそ、これまでの自分のキャリアを知ってもらうことの重要性が増すのだと気づかされました。これは、もしかしたらフリーランスや副業をしている方を含め、個人として活躍の場を広げたいと思っている方にとっては同じことが言えるかもしれません。自分が何者であるかを丁寧に伝えていくことが、きっと可能性を広げる第一歩になるはずです。