Eight Team Blog - 名刺管理に役立つヒントを発信

2018年9月19日

いま必要なのは、人間性を大切にするコミュニケーション──Eightのエンジニアチームが目指す組織づくりとは?

Eightで働く社員の声をお届けする「Developer’s Voice」。第2回はEightの開発を担うエンジニアチームを探る。【Developer’s Voice】


Eightのフロアは、その半分をエンジニアが占めている。現在エンジニアメンバーは42人。しかしこの規模になったのは最近のことで、ほんの数年前までは、いまの3分の1にも満たない人数だった。

当時を振り返り、「ベンチャー感が満載だったんです。とにかくなんでも自分でやらなければいけなくて本当にキツかった…」と笑うのは、エンジニアチームをまとめるチーフエンジニアリングマネージャーの鈴木。5年前に入社した鈴木は、Eightの成長や変化と共に歩んできたメンバーのひとりだ。

物腰が柔らかく、穏やかな口調が特徴の鈴木だが、Eightがまだ小規模だった過酷な時期を必死に支えてきた芯の強さも持ち合わせている。

今回はそんな鈴木に、普段の業務の中で何を思い、そしてどんな未来を目指しているのかを聞いた。


社員プロフィール

鈴木康寛
2013年 中途採用でSansan株式会社に入社。Eight事業部にてWebアプリケーション開発に従事。Eightの基本的な機能であるつながり処理の改善やフィード機能のプロトタイプ開発、構築を行い、日経ニュース配信機能やレコメンド機能改良等の開発を先導、自らも実装に参画した。休日は3歳の息子と公園でサッカーをしたり、旅行に行ったりとアクティブな一面も。あらゆるジャンルの情報を集める「収集ぐせ」があり、インプット、アウトプットを日々繰り返している。


たった5人でEightの開発を行っていた時代

Eightでは今、エンジニアのメンバー増加に伴い、エンジニア組織をより良くしようという動きがある。そのうえで全体を統括するポジションが必要になり、2018年6月からチームマネージャーを担うことになったのが、入社5年目の鈴木だ。

今よりはるかに規模が小さく、開発者も5人程度しかいなかった5年前。今でこそ80名以上が在籍するEightだが、当時は営業やマーケティングなどのフロントメンバーを入れてもたった10人程度だった。

「この時期が、一番辛かった」。 Eightをこれから認知させていこうというフェーズで、求められることの領域も量も質も全てが高く、なんでも一人でやらないといけない状態だったという。

「当時は、急に私のデスクに寺田さん(社長)がきて『なんでこれ終わってないの?』なんて言われることもありました。Sansanに入社する前はメーカーで働いていたので、突然社長が自分のデスクに来て話しかけられるなんて有り得なくて、なんだこの会社は!? と思いました。環境が違いすぎてビックリしたんです(笑)」。

辛かったと言いながらも笑顔で話す。その姿を見ていると、開発の仕事を楽しみながら取り組んできたことが伝わってくる。

これまでで一番印象に残っている仕事を聞くと、「レコメンド機能」の開発だという。ユーザーに、関係性が強そうな人をオススメする機能だ。

「Eightは、人と人とがつながってコミュニケーションが生まれるところに価値があります。その価値をもっと引き出せるように、つながっている人、あるいは同僚が直近でアクションしている人のスコアをとって、結びつきが強そうな人をおすすめする仕組みをつくっていたんです。この開発では、メンバー全員の個性や能力が相互に作用してチームのパフォーマンスが最大限引き出され、短期間で価値を提供することができました。だから楽しかったですし、印象にも残っています。」

「レコメンド機能」は、AWS(アマゾンウェブサービス)の新しい機能を取り入れて開発。Amazonからの評価が高く、鈴木はAWS Summit※でこの機能について登壇もした。※日本最大級のクラウドコンピューティングカンファレンス

メンバー42人の能力を最大化する役目

現在、Eightに在籍するエンジニアメンバーは、複数のチームに別れている。名刺管理をより効率的に行うための機能開発や、フィード画面の改善など、機能ごとにチームで開発を行い、開発のフレームワークにスクラムを取り入れている。

スクラムは、価値の高いプロダクトを生産的にユーザーに届けるために、メンバーそれぞれが個性や能力を最大限発揮できるようにする仕組みのことをいう。鈴木は以前、一つのチームのスクラムマスターだった。チームの力を最大化するためのファシリテーターのような役割だ。

Eightのエンジニアは、年齢やキャリア、在籍期間など、一人ひとり背景が違う。彼ら全員の能力を最大限に引き出し、より円滑に進むようにサポートするのがスクラムマスターの仕事だ。

その経験を経て、2018年6月、エンジニア組織のチーフエンジニアリングマネージャーになった。

マネジメントをするようになり、鈴木には大きく変わった点がある。それは、とにかくいろんな人に声をかけるようになったこと。エンジニアの組織をより良く変えていくためには、働いているエンジニアのパーソナリティを把握する必要があるからだ。

「チームの中で働きにくさを感じていないか、楽しく働けているかなど、スキルの面だけでなく、人の部分と向き合うコミュニケーションを大切にしたいんです」

教育面でのコミュニケーションにもこだわりがある。悩んでいるメンバーがいても、敢えて明確なアドバイスはしない。

「直接的な答えは言わないようにしています。その代わり、自分で考えてもらえるようなヒントを提供するんです。でも考えすぎて視野が狭くならないように、うまくバランスを取ることも大切です。そんな時は視点の切り替えを提案しますね」

しかしそうは言っても、忙しい通常業務の中でゆっくりとコミュニケーションを取る時間はない。だからこそ、意識的に時間をつくって個別で話をしたり、チームごとにランチに行ったりする。そこで気になった情報が出てくれば、個別にOne on oneをすることもあるし、状況が芳しくないチームがあれば、時間をとってリーダーと話をする。

聞いているとかなり密にコミュニケーションを取っているように感じるが、それでも鈴木は、「課題は、まだまだメンバーとのコミュニケーションが取れていないこと」だと言う。

開発者としてのものづくりは、仕様さえ決まっていれば正解は見つかる。しかしコミュニケーションには正解がない。だからすごく難しい。

「例えば、会議の場で発言しにくいという問題があります。思ったことを言える人は良いですが、環境によっては、意見を言えずにそのまま同意してしまうケースもあります。もしそれぞれが気兼ねなく意見を言える環境なら、第3のアイデアが生まれたかもしれない。こうした環境を整えることも必要だと思います」

さらに、情報共有のフローについても指摘する。情報共有は、ドキュメントを残しておけば解決するというわけではない。これまでは、何かものごとが決まった時、決まった内容だけが結果としてメンバーに伝わるケースが多く、決定以前の背景や、なぜその決定に至ったのかを公開する姿勢が薄かった。

「施策の意図をもっとオープンにしたい。ひとつのことが決まるまでの間、どんな話し合いがなされたのかをみんなが知るべきだと思うから、フローを変えて行きたいんです」

メンバー同士の感謝がモチベーションにつながる

普段の業務の中で大切にしていることは? と聞くと、とにかく情報を集めることだという。

「一見、全然関係なさそうだな、と思うことでもとにかく集めて、必要なときに引き出しから出すんです。これは技術者としてもマネージャーとしても意識していることですね」

しかしその一方で、既存のフレームやプラクティスに乗ることも常に意識している。

「先人の知恵を活かさない手はありません。何もないところで試行錯誤するのはもったいないので、まずは既存のやり方で試して、ダメだったらアレンジする。古いものを活かし、新しいものを取り入れる、その繰り返しです」

音楽や旅行が好きだという鈴木。ジャンルを決めずにいろんなことを知りたいという好奇心旺盛な性格は、仕事にも趣味にもあらわれているようだ。

そんな日々の業務の中で嬉しいと感じるのは、自分で作ったものが世に出て、ユーザーに使ってもらえること。「Eightユーザーが増えていることを実感した時はやっぱり嬉しい」と顔をほころばせる。

「一緒に働く仲間に感謝されることもモチベーションにつながるので、自分自身も誰かに感謝することを意識しています。その連鎖がみんなをポジティブにしていくことにつながればいいなと。だから、『ありがとう』を伝え合う『ありがとう活動』もしてみました。ふとした瞬間の感謝の言葉は嬉しいし、周りの雰囲気も変わるんですよ」

最後に、これからのEightに対する想いを聞いた。鈴木は「Eightは大きな可能性を秘めたサービスだ」と自信を持って語る。

「Eightなら、名刺交換の文化を変えることができると思う。例えばスマホで名刺交換をすることが当たり前になるとか。それに、名刺交換の傾向を分析することで新たなサービスの機能につなげることもできます。だから、Eightの事業を成功に導くために、いま個人で何ができるのかを考えることも、課題だと思っています」


文/谷瑞世、写真/Eightデザインチーム